帰化申請と永住ビザ(永住権)申請との違い

■現在の外国籍を喪失するか保持するかの違い

  • 帰化申請は、現在の国籍を喪失し、日本国籍を取得(日本人になる)して日本を生活の本拠とする手続きです。
  • 永住ビザ(永住権)申請は帰化申請とは違い、現在の外国籍を保持したまま、日本に在留する手続きです。

 

■日本での生活の安定性の違い

□日本に対する考え方の違い

帰化申請においては日本人としての生活を営むわけですから、日本で安定した生活を送るには最も有効な方法であるといえます。
ご自身の事であれば特に不自由がないかもしれませんが、子供の学校、就職、結婚のことを考えて帰化を検討するというお客様は多いです。
一生涯を日本で生活するという意思のある場合には帰化が適しています。

永住ビザ(永住権)申請は帰化申請とは違い、将来母国に帰国する予定がある場合、日本は仕事・生活の場所ではあるが母国ではないと考える場合はビザ(永住権)が適しています。

 

□日本での在留手続きの違い

帰化申請においては日本人(日本国籍)となるわけですから、日本で生活するのが基本です。特に日本に在留するための手続きは不要になります。

永住ビザ(永住権)申請は帰化申請とは違い、国籍は外国籍ですから、他の在留資格(ビザ)と同様に出国する際には再入国許可が必要であり、再入国許可を取得せず出国した場合、出国後に再入国許可の期限を過ぎた場合には永住ビザ(永住権)を失うことになります。

さらに、永住ビザ(永住権)による永住者であっても退去強制事由、在留資格取消事由の対象になりえます。
この点で永住ビザ(永住権)は帰化申請とは違い、入国管理局の外国人登録が必要で、日本での生活の安定性に欠けるといえます。

 

□日本での住民手続きの違い

帰化申請においては日本人(日本国籍)となるわけですから、日本の戸籍に登録されます。

永住ビザ(永住権)申請は帰化申請とは違い、外国籍の為、日本の戸籍に登録できません。日本人の配偶者・子がいる場合、同一の日本戸籍に登録できません。

 

□日本での就職・就学の違い

永住ビザ(永住権)申請は帰化申請とは違い、外国籍のため、日本国籍であることが条件とされる一定の公務員等にはなることができません。また、同様に一定の大学では日本国籍であることが入学条件とされています。

例えば、管理職的地位の公務員、外務公務員、公職政治家、都道府県公安委員会委員、教育委員会委員、選挙管理委員会委員、公証人、、裁判官、検察官などの就職には日本国籍を必要とします。

防衛医科大学、防衛大学校、海上保安大学校、気象大学校(気象庁の幹部養成)、航空保安大学校などは、入学募集要項に日本国籍という条件があります。

 

□特に夫婦における帰化申請と永住ビザ(永住権)申請の違い

帰化申請においては、外国籍同士の夫婦の一方が帰化を望み、もう一方がそうでない場合で帰化申請を進めると、帰化申請の面接では夫婦双方が面接に呼ばれることとなります。そこでは夫婦の一方が帰化を望まない理由に合理性があるのかが確認されます。帰化は日本国籍を取得する手続きである以上、将来的にも日本を生活の本拠とすることが前提となります。しかし、合理的な理由なく、夫婦の一方が帰化を望まない場合はその可能性がないと判断されかねません。よって、外国籍夫婦の一方のみが帰化申請をする場合には事前の準備が必要です。

永住ビザ(永住権)においては、国益適合要件つまり、日本社会になじめているかの尺度として日本に継続して在留しているかが要件となっています。

よって、永住ビザ(永住権)は帰化申請とは違い、外国籍夫婦の一方のみが永住ビザ(永住権)申請をすることは要件を満たしている限り難しくありません。

 

■帰化申請と永住ビザ(永住権)申請との違い

違い  帰化申請  永住ビザ(永住権)

国籍 

日本国籍に変更
もとの国籍を喪失
もとの国籍を維持

外国人登録・再入国許可 

不要 

必要
永住ビザ(永住権)は無期限のため、更新は不要

退去強制事由・在留資格取消事由・退去強制

対象にならない  対象になる
参政権・被選挙権  あり  なし
就職・就学  制限なし  一部制限あり

日本戸籍

登録
日本人配偶者・子と同一の戸籍への記載可能

登録不可能
日本人配偶者・子と同一の戸籍への記載不可能

パスポート 

日本国のパスポート
(多くの国で査証が不要となるメリットがある)
もとの国のパスポート

申請単位 

原則家族単位
原則夫婦の内、一方が帰化申請し、もう一方がしないという事は難しい
個人単位
夫婦の内、一方が永住ビザ(永住権)申請し、もう一方がしないという事は難しい

 

 

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